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出願公開とは? 特許の登録との違いや公開されるまでの期間などを解説します

更新日:2023年7月3日



特許庁に出願された特許の内容は、一定の期間を経た後に一律公開されています。これを、一般に「出願公開」と呼んでいます。


ここでは、出願公開と特許の登録がどのように違うのか、また、出願公開を行う目的や、特許が公開される期間などについて、詳しくみていきます。



出願公開とは?

特許出願は、出願から1年半を経過すると一般に公開されます。これを「出願公開」と呼びます。


出願公開は、特許庁が発行する「公開特許公報」に出願書類全文が掲載されることで行われます。出願公開の対象は、出願から1年半経過時に存在する特許出願です。出願から1年半を経過するまでに特許が成立したり、出願が取り下げられたり、拒絶が確定した出願は出願公開の対象とはなりません。



特許出願を公開する目的

特許出願を公開する目的は、大きく2つあります。


1つめは、重複した内容の出願を防ぐためです。特許は出願しただけでは審査が開始されず、出願から3年以内に「審査請求」を行う必要があります。


審査請求が行われ、特許が付与されれば、特許発明の内容が特許公報に掲載されます。しかし、出願公開がないとした場合、それまでの間、特許出願の内容は非公開となるため、同一発明について別の人が特許出願を行う可能性があります。



出願内容が重複すると、特許の出願を考えている人や企業と、特許庁側の双方にとって不利益になります。そのため、たとえ特許が認められていなくても、一律公開しているのです。


2つめは、結果的に特許が成立しなかったアイデアも、世の中に役立つ可能性があるためです。特許を取得するに至らなかったアイデアを見た第三者が、独自の視点でさらに発展させてくれる可能性があります。


そうして、新たな技術が発明されれば、それは国や世の中の発展に寄与します。有益なアイデアを埋没させないためにも、特許の公開が行われているのです。



「特許」と「出願公開」の違いとは?

特許と、出願公開は、ときに混同されがちです。


「特許」とは、特許出願人に発明を独占する権利を付与する処分を指します。


一方で「出願公開」は、特許が認められている・いないに関わらず、出願された発明を「公開特許公報」に掲載して、一般に公開することを指します。


このように、「特許」と「出願公開」では、意味が大きく異なります。



似て非なる「公開特許公報」と「特許公報」

もうひとつ、混同しやすいものに、「公開特許公報」と「特許公報」があります。


「公開特許公報」は、出願公開により特許出願の内容を公開するものです。


一方の「特許公報」は、特許庁による審査を経て、特許を取得したものだけが掲載されます。


「公開特許公報」と「特許公報」は、名前こそ似ていますが、内容が大きく異なります。



出願してから特許が公開されるまでの期間




特許が公開されるのは、原則、特許出願の日から1年6ヶ月を経過したときと定められています。


なお、インターネット上で公開特許が確認できる、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」では、公開が2ヶ月ほど遅れるケースがあります。




公開は出願から1年6ヶ月後。猶予の理由とは?

出願後すぐに公開されないのは、第三者による模倣や類似発明を防ぐためです。


特許の審査にかかる期間は、平均して審査請求から9ヶ月ほどで、早期審査依頼を行うと2〜4ヶ月ほどに縮まります。そのため、出願後、速やかに審査請求を行えば、内容が公開される前に特許の取得が可能です。


出願から1年6ヶ月以内であれば、公開特許公報を見て模倣されることはないため、自らの発明やアイデアを知られたことでの不利益は起こりません。アイデアを発明した人や企業の利益を保護するため、1年6ヶ月という期間が設けられているのです。



「出願公開請求」で特許の公開を早めることも

もし、特許の公開を早めたいのであれば、「出願公開請求」を行えます。出願公開請求は無料で行え、申請から2〜3ヶ月ほどで公開されます。


公開を早めるメリットは、第三者にアイデアを模倣された際に発生する補償金請求権を、公開を早めた分だけ早くに発生させられることです。実際に補償金を請求できるのは特許を取得した後ですが、公開が早ければ、請求できる期間は長くなり、金額も大きくなります。


一方で、商品化の準備がまだできていない段階で、第三者にアイデアを模倣される可能性も高まります。自分たちより先に、類似の特許で製品化されてしまう危険性もあり、明らかなデメリットです。


出願公開請求の取り下げはできないため、メリットとデメリットを天秤に掛け、十分検討してから行いましょう。



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井上国際特許商標事務所は、様々な技術分野の特許出願手続きを取り扱ってきた、特許取得のプロフェッショナルです。


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