法改正

TPP11の発効に伴い改正法が施行されます

2018年12月30日より、改正された特許法商標法が施行されます。TPP11協定の発効に伴う法整備です。今年(2018年)は「不正競争防止法等の一部を改正する法律」も公布され、既に一部が施行されています。

 

1.法改正の経緯

今回の特許法と商標法を改正する法律は「環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律」(TPP11整備法)と呼ばれるものです。

このTPP11整備法は、2018年12月30日にTPP11協定が発効するのに伴い、同日に施行されます。

TPP11整備法は、TPP12協定に基づき2016年に公布された「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律」(TPP12整備法)が「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律」(TPP12整備法の改正法)によって改正されたものです。

従って、改正の内容を詳しく調べるには、「TPP12整備法」と「TPP12整備法の改正法」を併せて読む必要があります。

TPP11整備法 = TPP12整備法 + TPP12整備法の改正法

 

2.特許法の改正概要

審査に時間を要した場合に存続期間を延長することができる旨の規定が新設されます。

具体的には、特許権の設定の登録が以下のいずれか遅い日(この日を「基準日」と呼びます)以後にされたときは延長登録の出願により存続期間を延長することができます(改正後の特許法第67条第2項)。

 ① 特許出願の日から起算して5年を経過した日

 ② 出願審査の請求があった日から起算して3年を経過した日

存続期間の延長は、最大で、基準日から特許権の設定の登録の日までの日数の分だけ可能です。ただし、拒絶査定不服審判を請求した場合などには、この期間から所定の日数が控除されることとされています(改正後の特許法第67条第3項)。

 

・適用される出願

TPP11整備法附則第2条第3項は、「施行日又は環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定が署名された日から二年を経過した日のいずれか遅い日以前にした特許出願に係る特許権の存続期間の延長については、新特許法の規定にかかわらず、なお従前の例による。」としています。

この条文中の「施行日」は2018年12月30日であり、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定が署名された日から二年を経過した日」は2020年3月8日ですので、2020年3月8日以前にした特許出願には存続期間の延長の規定は適用されないものと思われます。

 

・延長登録出願の期限

延長登録出願は、原則として、特許権の設定の登録の日から3月以内に行う必要があります(改正後の特許法第67条の2第3項)。この出願を行った場合、存続期間の延長がなされたものとみなされます(同条第5項)。この点は既存の存続期間の延長の規定と同様です。

 

・延長登録出願の審査

延長登録出願は、審査官により審査が行われ、以下の拒絶理由に該当する場合には拒絶査定となります(改正後の特許法第67条の3)。

① 特許権の設定登録が基準日以後にされていない

② 延長を求める期間が延長可能期間を超えている

③ 出願人が特許権者でない

④ 共同出願違反

審査においてこれらの拒絶理由が発見されない場合、延長登録をすべき旨の査定がなされ、延長登録となります。

 

・延長登録無効審判

延長登録出願に上記拒絶理由が存在したにもかかわらず延長登録がされた場合、利害関係人は延長登録無効審判を請求することができます。これにより延長登録の無効が確定すると、特許権の存続期間の延長は、初めからされなかったものとみなされます(改正後の特許法第125条の2)。

 

3.商標法の改正概要

損害額の推定等(商標法第38条)に、故意又は過失により、指定商品・役務に登録商標と同一または社会通念上同一の商標を使用することにより商標権等の侵害が合ったときは、商標権者等は、その商標権の取得及び維持に通常要する費用に相当する額を、商標権者等が受けた損害の額とすることができる旨の規定が追加されます。

 

4.新旧対照条文

改正前と改正後の条文は下記リンク先PDFをご覧下さい。

このPDFはTPP12整備法に基づいて作成されたものです。特許法の新規性喪失の例外(特許法第30条)と商標法の商標権の効力が及ばない範囲(商標法第26条)の新旧条文が記載されていますが、これらの改正については他の改正法により既に施行されています。

特許法TPP11改正新旧対照条文

商標法TPP11改正新旧対照条文

 

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